女体崩れんとす。或る男が告白する波乱の生涯！凄まじき愛と憎しみの人間走馬燈！
中川信夫がサスペンスのストーリーの中で、戦後を生きる様々な階層の人々、家族の愛憎を描いた作品。

【ストーリー】
横浜のクジラ横町にあるビタミン亭を労務者姿で訪れた新聞記者・森口は、おやじの顔を見て驚愕した。その男は、戦争中に失踪した早川飛行機会社の社長・早川道平に違いなかった。早川は背任横領などで憲兵隊から追われていたが、失踪の真相は謎のままだった。早川が紅葉荘というアパートに久保田と称して住んでいる事を突き止める。森口は早川の生存を娘・峰子と今はキャバレーのマダムになっている七重に知らせる。早川家に小間使いとして働いていた七重は、早川の息子・浩之と恋に落ち、子を宿したことで早川家を追われていた。浩之はすでに戦死していたが、当時報道班員だった森口は、親友でもあった浩之から七重のことを託されていた。浩之の忘れ形見・浩一と暮らす七重は、孫がいることを早川に知らせようと考える。一方で背任横領罪に問われている父の生存を世に知られたくない峰子は、父に自身の生存を否定する様に迫るのだった。早川を訪れた七重へ早川と峰子は、人違いだと冷たく告げる。森口は紅葉荘に住むキヨ子と知り合い、早川の動静を探らせていた。確証を掴んだ森口は、再び早川の元を訪ねる。


初DVD化/本編79分/リマスタリング