セッティングに左右されにくく安定したトレーシング性能を持つ接合丸針を採用
通常価格 ¥13,500(税別)
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発売日 2016/12/09
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■接合丸針を搭載したVMカートリッジのエントリーモデル
■アルミニウムパイプカンチレバー採用
■発電効率を高めるパラトロイダルコイル
■クロストークを改善するセンターシールドプレート
■高剛性樹脂ハウジング
オーディオテクニカがVMカートリッジを全面刷新。本記事では、スタンダード〜ミドルの価格の製品がそろう「500シリーズ」を野村ケンジ氏がレビュー。初心者からマニアまで満足させるコストパフォーマンスの高いカートリッジ群をレポートした。
今回の刷新でもっともユニークなのは、ラインナップ全モデルで針とハウジング(ボディ)に互換性があり、針交換が行えるということだ。ハウジング部分が500シリーズは高剛性樹脂製で共通化されているため、シリーズ内の各モデルで異なるのは針の部分のみということになる。要は針を付け替えたり、交換したりすることが可能になるということだ。また、針だけの別売も行われる。
価格が下の順から「VM510CB」は接合丸針、「VM520EB」は接合楕円針、「VM530EN」が無垢楕円針、「VM540ML」が無垢マイクロリニア針を装着する。高性能パラトロイダルコイルを採用した点は上位機と同様だ。カンチレバーは、VM540MLのみアルミニウムテーパーカンチレバー、そのほかのモデルはアルミニウムカンチレバーを採用する。
針交換ができるこの機構を活用すれば、まずはVM520EBを購入して楽しみ、後から交換針「VMN40ML」を追加購入してVM540MLと同じサウンドも楽しむ…というようなことができるようになる。
最初に聴いたのは、接合丸針を備えたスタンダードモデル「VM510CB」。ラインナップ中で価格は最も安く、従来モデルと比べるなら「AT100E」(こちらは接合楕円針だが)に相当すると考えてもいいだろうか。試しに手持ちのAT100Eと比較試聴してみると、AT100Eに対して解像感を向上させつつ、フォーカス感を高めることにいっそう注力したことが聴き取れる。輪郭がとてもはっきりしていて、ハイハットやシンバルの音がよく前に出てくる。とはいえ決して高域が尖っているわけではなく、むしろ高域の表現を大切にしたサウンドで、女性ヴォーカルが普段より伸びやかな歌声になる。
様々なレコードを聴いたが、スティングなど名盤ロックとの相性も良かった。ピアノもサックスも活き活きとした演奏。エコー成分がやや多めにも聴こえるが、これは好みの範疇だろう。総じて、エントリーモデルながら特に高域表現でかなりのボトムアップを実現した製品といえる。
文:野村ケンジ
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。