出力管に6L6GCをプッシュプル構成で採用。電子制御アッテネーター LECUAを搭載した、木箱ケース入り真空管プリメインアンプ
通常価格 ¥500,000(税別)
JAN:4958136000523
発売日 2016/10/25
残りわずか
■電気回路、機能
・出力管にエレクトロ・ハーモニクス社製6L6GC(固定バイアス)のプッシュプル構成を採用した20W+20W(6Ω)の定格出力。
・回路方式には、実績のあるムラード型のドライバー段とビーム管接続のファイナル段を採用。
・88 ステップのスムーズなボリューム操作を実現した、電子制御音量調節アッテネーターLECUAを真空管アンプ製品に初搭載。
・真空管パワーアンプ回路の前段となるプリアンプ回路には、プリメインアンプ・シリーズ(L-590AXなど)で実績のある高音質・半導体回路を搭載。
・専用のフォノアンプを買い足すことなく、ハイグレードなアナログレコード再生を楽しめる半導体構成のMM/MC対応フォノアンプ回路を内蔵。
・アナログレコードの反りによるウーハーのふらつきを抑えるサブソニック・スイッチと、モノラルレコード再生時に便利なモノラル・スイッチを装備。
・細かな音質調節が可能なターンオーバー周波数3 段階切り替えの電子制御式トーンコントロール機能(バス/トレブル)を装備。
・人の聴感特性に合わせて適度に低域と高域を補正する音量連動式のラウドネス機能を装備。
・パワーアンプを追加したバイアンプ構成やAVシステムとの共存を可能にするプリ/パワー回路の分離機能、セパレート・スイッチを装備。
■機構、付属装置
・16mmのMDFにナチュラルな突き板仕上げを施した、伝統的な高剛性・ロ(ろ)の字型木箱ケースとフルファンクションのノブレイアウトを採用。
・コンポーネントとしての存在感ある佇まいを実現した横幅440mmのフルサイズボディ。
・大型のプラグを装着した高性能なラインケーブルにも対応する18mmピッチ金メッキ仕上げのRCA端子。
・極太のスピーカーケーブルも装着しやすく、Yラグやバナナ端子にも対応したインライン(LR同一特性)レイアウトのスピーカー端子(A/B 2 系統)。
・外付け電源ケーブルの装着を可能にする金メッキと非磁性処理を施したACインレット。
・リスニングポジションからの音量操作を可能にするアルミ製リモコンを付属(対応するラックスマン・デジタルプレーヤー製品の再生操作も可能)。
かつて「SQ-38」シリーズで一世を風靡したことから、“38”という数字はラックスマンのエースナンバーとされている。「LX-380」は、その38を背負った真空管プリメインアンプだ。
プリアンプ部の音量調整回路に注目。この部分は同社の真空管式機として初めて電子式のLECUAを採用。トーンコントロールはバスとトレブルの2系統だが、両者とも3つのターンオーバー周波数が選択できる。これはかなり効果的で、部屋の音響特性をある程度コントロールできる可能性が高い。ラウドネススイッチもあるので深夜のリスニングも安心して行える。もちろん、これらをパスするラインストレートのスイッチも装備。さらにはMM/MC対応のフォノイコライザーも搭載する。
パワーアンプの終段真空管は6L6GCのプッシュプルだ。出力は18W×2(8Ω)。かなり控えめな数字だが、長期にわたる使用を前提に無理のない設計をした結果がこの数値だという。
いかにも真空管アンプらしい音だ。ホンワカした柔らかい音を想像しがちだが、そうではない。おろしたてのドレスシャツのようなバリッとしていて、音に張りがあって、音の質感に威厳のようなものがある。これが真空管アンプ本来の音である。
だが、昔の真空管アンプとは異なった一面もある。それは聴感上のS/Nの良さだ。これはLECUAの恩恵であろう。音場は清潔で程よく広く、音楽を安心して楽しめる。音楽的には楽曲・演奏に積極的に介入するタイプで、ディテールをデフォルメしたりボカしたりするのだが、それが決して不快ではない。
ジャズは真空管式機ならではの味わいだ。スピーカーがアンプのアウトプット・トランスにつながっているので、逆起電力による低音の空振り現象がなく、音楽の支えがきっちりとしている。トランスがあることによる帯域制限感はたしかにあるのだが、そのぶん音楽を濃密に味わうことができる。また、真空管式であるがゆえにトランジェント感が良好で聴感上の分解能が高い。
ヴォーカルは標準的な声質の歌手でもラックスマン特有の色気が乗るので楽しく聴ける。これはもうラックスマンならではの「藝(わざ)」というやつだ。クラシックは弦の艶やかさが印象的だった。音楽的な客観性は希薄で、ある程度情報の取捨選択をするのだが、それが感動につながる。長期にわたって付き合える、音楽性の高いモデルである。
文:石原 俊
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。