デノン Denon
CDプレーヤー プレミアムシルバー DCD-SX11-SP [ハイレゾ対応 /スーパーオーディオCD対応]
DCDSX11SP
DSD 11.2 MHz、PCM 384 kHz / 32 bit対応USB-DAC搭載 スーパーオーディオCDプレーヤー
通常価格 ¥300,000(税別)
JAN:4951035056400
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DSD 11.2 MHz、PCM 384 kHz / 32 bit対応USB-DAC搭載 スーパーオーディオCDプレーヤー
■DSD 11.2 MHz、PCM 384 kHz / 32 bit対応USB-DAC搭載
■スーパーオーディオCDプレーヤー
■PCノイズアイソレーション「PC Pure Direct」
■ハイレゾ音源、iPod/iPhone対応USB-A入力
■フルバランス・アナログオーディオ回路
デノンから登場した「DCD-SX11」は、ミドルレンジのディスクプレーヤーである。前作に相当する「DCD-SA11」の発売からすでに11年、その間に人気機種の「DCD-1650RE」やフラグシップの「DCD-SX1」など、ラインナップの主要モデルが次々に世代交代を経て進化を遂げ、30万円台後半のクラスにも最新モデルの登場を期待する声が強まっていた。DCD-SX11はそんななか登場した待望の製品と言っていい。
DCD-SX11はPMA-SX11とペアで使うことを想定して設計された製品だが、まずはアキュフェーズのプリメインアンプ「E-600」と組み合わせ、本機単体の音を聴く。スピーカーはエラックの「FS249BE」を使用した。
ヤルヴィ指揮/NHK交響楽団の演奏で聴いたR.シュトラウスの『英雄の生涯』は、重心の低い安定した低音と、明るくキレの良い高音が鮮やかな対比を見せ、この演奏の特徴であるテクスチャーの豊かさを見事に引き出してくる。細部まで解像する分解能の高さは、まさに情報量に余裕のあるSACDならではのもの。DCD-SX11は、音数が多いR.シュトラウスの管弦楽曲をフォルテシモでも混濁なしに再現できるプレーヤーであることがわかる。
CD再生では、中高音に潤いと柔らかさをたたえたヴォーカルに耳を傾けたい。潤いと柔らかさは、どちらもディスクに本来刻まれている情報だが、その特徴が鮮やかに浮かび上がってきたのは、Advanced AL32 Processing Plusの効用だと思う。解像度志向の強いプレーヤーのなかには声の潤いを失いがちになる製品もあるが、本機はそれとは対極にあり、息遣いなど重要なディテールはキープしながら、肉声感やシルキーな柔らかさも確実に引き出す。声の美しさはSACDで聴いたアノニマス4のアカペラでも聴き取ることができ、CDとSACDどちらを聴いても音色が薄味にならないメリットを実感した。
次にアンプをPMA-SX11に変更し、純正の組み合わせでディスクの音を聴く。低重心のバランスは変わらず、量感のある低音を引き出すが、ベースが広がったり、バスドラムが過剰にふくらむことがなく、音像はちょうど良い具合に引き締まっている。価格がほぼ2倍近くのプリメインアンプからつなぎ変えたので、低音の制動力にもっと大きな差が出ると想像していたが、そうではなかった。PMA-SX11のアンプ性能が大きく寄与していると思うが、それだけではなく送り出し側であるDCD-SX11の低音の質感が向上し、速さの再現性と音色の描写力が上がっていると感じる。
さきほどのR.シュトラウスも、低音の質感向上の好例だ。短い音符を勢い良く刻む低弦だけでなく、ティンパニの一撃も響きが素直に止まり、動的なレスポンスが優れていることに気付く。立ち上がりが速く勢いがあるので量感不足を感じることはないし、付帯音が少ないので音場の見通しも良い。その感触は前作のDCD-SA11も含め、デノンのこれまでのディスクプレーヤーとは明らかに異なるものだ。
USBメモリーやUSB-DACによるデータ再生でも、マスターとの距離が近付く感触を確実に聴き取ることができた。マスターと同形式でダウンロードしたピアノ独奏は、音色の透明感が際立つとともに、弦の振動だけでなく響板やボディなど、楽器全体が共鳴している様子がリアルに伝わってきた。これはS/Nや空間再現など、基本的な性能を確保したシステムでなければ成し得ないことで、本機のノイズ対策が確実な効果を上げていることがわかる。
本機で聴いた複数のハイレゾ音源のなかで、音の鮮度の高さが際立っていたのがパイプオルガンの独奏である。低音から高音まで均一なエネルギー分布、揺らぎのない超低音、そして余韻が広がる空間の大きさと透明感の高さなど、膨大な情報を有するハイレゾ音源でなければ再現できない表現を確実に引き出すことができる。特に、揺るぎない低音再生を実現した背景には、共振対策と低重心化を徹底したディスクプレーヤーならではの余裕が存在することを確信した。
文:山之内 正
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。